祖母の縫った古浴衣 | HOODのブログ

祖母の縫った古浴衣


数十年前に祖母が縫い上げた古い浴衣。祖父のために作った浴衣、祖母が自らのために作った浴衣もある。特に、自分用に縫ったものは出来映えが良い。生地も凝っているし浴衣には見えない。

明治生まれの(日露戦争より先だ)祖母にとって和裁など片手間な技術、それは女の日常であった。女としての役割を求められた祖母が、家事のみを修する立場に満足していたかは不明だ。才媛でもあった祖母は、初等教育時代から札幌の女学校卒業まで学年の筆頭席次で、初等では同級に非常な秀才であった男の子がいたらしい。だが、教科で負けたのは体育だけ…と生前は自慢していた。
男の子は、やがて海軍に進み、終戦工作で活躍した海軍参謀になるのだが…『あの子に一度も学業で負けた事はなかったねぇ、算数なんて、いつも私が勝ちだった。』と祖母は、テレビの終戦特集番組で当時を語る参謀氏を見ながら、相当な自慢振りだった。

どうして祖母が、それほどまでに優秀であったか。様々に考えてみると、当時の子供は家事手伝いは当然であり、その後は必死で勉強に励んだ。余計な時間もないし、遊びと言っても姉妹や兄弟で行う素朴で単純なものだ。

そういうシンプルな生活と、知識欲求に溢れた思考が育んだに違いないのだ。

さらに学業とは男子専用のものではない。女子にも道は開かれるべきだ…とする近代主義も背中を押していたように思う。

そんな祖母に質問した事がある。
私『おばあちゃんは、次に生まれるとしたら女と男、どちらが良い?』

祖母『それは、絶対に女だね。女が良いよ。好きな男の子供も産めるし、自ら勉強して出世も出来る。男はね。女に甘える必要があるから、つまらないねぇ…』

次は、男が良い…と予想していたが、意外な答えでもあり、また祖母らしくもあるが、今さらながら亡くなって三十年近いのだった。