星恋 | HOODのブログ

星恋


水戸・銀杏坂にある古書店『とらや書店』にて昭和二十一年に出版された俳句と随筆本を見つけた。

山口誓子・野尻抱影著『星恋』鎌倉書房。
著者野尻抱影は星座研究者の一人であり、戦前からの天文を主題とした随筆家。
また作家大佛次郎の弟でもある。

野尻、山口ともに戦時下で息を潜めた文学者であり、この本も戦後いち早くに編集された。

天体に造詣の深い野尻が、エッセイに合わせて星にまつわる山口の俳句を収集。野尻による紀行文は戦前の日本風景、旅の様子を伝えている。汽車旅が主体であった当時、その旅の風景には必ず列車の汽笛が効果音として息づく。そういう響きが旅を演出しているのだ。

志賀直哉の『暗夜行路』、宮沢賢治の『銀河鉄道』も蒸気機関車の存在があって、初めて文体に詩情が生まれる。目的地に向かうまでの道中も、また旅のひとつであったに違いない。