真田丸・山吹の花 | HOODのブログ

真田丸・山吹の花

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五月人形達


宮沢りえ、深田恭子、松たか子、芦田愛菜、竹内結子…これら女優達が大河ドラマで共通して演じた役がある。それが『茶々・淀君』、傾国の姫、亡国の女王など賢婦としての歴史評価は極めて低い。

なにより、淀君が戦った籠城戦は全て敗戦で落城している。戦国時代においては『サゲマン』の極みだ。戦争はもとより、世の中を知らぬ頑なで、高慢な女…と描かれている。

…しかし、時代劇や大河ドラマは様々な解釈が可能であって、現在放映中の『真田丸』に描かれた『淀君』は、竹内結子への演出・扱いがちょっと興味を引く。

淀君が、次第に主人公と共に悲劇へと転調してゆく導入の役割が、実に良いのだ。

今夜の『真田丸』、淀君に誘われるままに武器蔵の密会、山吹の花、花を押し花にした懐紙、秀吉の嫉妬と、さながら『オセロー』もどきの展開だった。特に山吹の花をやりとりするシーンは寓意があって、思わず深読みしてしまう。

脚本家は『七重、八重、花は咲けども山吹のみの一つだに、なきぞ悲しき…後拾遺和歌集・兼明親王』を念頭にしたと思われた。この一句は有名な太田道灌伝説に転用されているが、この場合の『山吹のみのひとつ』…とは、もちろん道灌同様に『簑』ではない。

深読みすれば…『みとは、実・身』であり、つまり実子である。『私たち二人に花はあるが『実』がない…それが悲しい』とする淀君に投影された寓意であり、この二人の関係がただならぬ深いものである…と解る。

いや、ドラマの描写に淀君・幸村のエロいシーンは無かったが、私は『山吹』を贈り合う二人のシーンには、作家の仕掛けがあると思えた。
淀君から山吹の花一輪を渡され、断ろうとする主人公に『お花くらい、良いでしょ!』と言う。…もっと大切な事が二人にはあるんだから、お花くらい受け取れるでしょ!…うむ、さらりとエロい関係を仄めかしている女心が憎い、そして哀れでもある。

その淀君から贈られた『山吹の押し花』を女友達の『きり』が取り上げて食べてしまうのも、また深い…な。