記憶…序 | HOODのブログ

記憶…序


久しぶりにフィルム機を下げて隣町へ行った。隣町は十五年間過ごした場所で、私の原風景と言って良い。家を出たのは夕方近い時間。すでに日はかなり傾いていた。

しかも、駅前からは当時は主だった商店街が姿を消し、残っている店は少ない。

何かに導かれたように、記憶を辿りながら裏通りに入る。そこは、小さなスナックがあった場所で同級生の子が母親と暮らしていた。何か繋がらない記憶がある。だが、無理に結ばない方が良い…ふと、自らに呟いている。

夕暮れの街を視線で切り裂くように眺めた少女が走り去る。黒い髪が風に流れて行く。幼子であったのか。重なった後ろ姿は高校時代の制服姿であったのか。

街に迫った山裾に日が落ちる。独特の風景を思い出した。


手にしたカメラを消えた風景に向けてみた。時間は止まらず乾いたシャッターの音が虚しい。