川の流れ。小石の夢
車で少し郊外まで来た。
道の駅で休憩。河原を望む公園があったので川辺まで歩いてみた。
大小様々な石が転がっている。面白い模様の小石があった。
砂岩に方解石の混ざったものと思う。
拾って、匂いを嗅いでみると川の香りがした。どこかで似た匂いの記憶がある。
何の匂いか。
そうだ、『鮎』の香りだ。川の水や様々な水藻の混ざり合った香り、料理で『鮎』をさばいた際の匂いだった。
黒沢作品の『夢』には、川沿いの道を人々が遡ってゆくシーンがある。生から死へ、それは魂が源へ還ってゆく事を連想させる。
普段ならば気に入った石は持ち帰るのだが、珍しく小石を河原に戻した。
まだ小石達も流れて行くだろう。目的地は遥かに遠いのだ。
夢の邪魔してはならない。


