ホテル・カルフォルニア
雨降る夜。たぶん桜が散る。
深夜の雲上を何故か轟音をあげて戦闘機が飛んで行く。空気を切り裂くような初めて耳にする音だ。
ラジオを付けたらAFNからホテル・カルフォルニアが流れてきた。雨に濡れた都会の風景を想像しながら思い出した事がある。
その昔、朝鮮戦争の後方支援基地であった日本国内。東京も例外ではなかった。戦時下、山手線目白駅の傍らに一本の米国式の低いホームが設置されていて、早朝に米国の兵隊達を乗せた列車が横須賀へ立った…という。私が都内暮らしを始めた頃は、その辺りは休止中の客車が留置してあったりしたが、ホームらしき跡が確かにあった。今では再開発でマンションや博物館が建っている。面影すら皆無だ。
この地から戦地に赴いた青年達を知っている人々が、まだ日本にいるのだろうか。
母国を守る戦争ではなく大義のない戦場で命を落とす。自分ならばやりきれない。
トウキョウにも故郷へも戻らぬ若者はいたはずで、亡くなった兵士一人一人に人生があった。ある日、突然に人生が終わってしまう不条理を、単純に英雄に言い換える矛盾。大都会の物陰に人知れぬ歴史が潜んでいる。
もっと東京を知りたかったが、ひとまず私もサヨウナラ。


