震災の日から
五年前、震災当日の日。 私は渋谷は松涛の坂を上っている時だった。坂の上には稲荷神社があって、もうすぐ視界の中だ…と思った瞬間に、大地に異常を感じた。
その後は周知の通り、以後の日々から私も含めて日本人の意識が変わる契機となった。
被災地ではない大都会ですら、商店から食料や日用品が全て消え、計画停電の情報が流れると破棄を恐れた街のスーパーには肉類が破格値で山積みされた。
被災地の混乱を他所に見ながらも、都会には冷ややかな空気が支配していた。
しかし、いずれ我が身か…という心情は共有されたとも見える。その我が身を、何に託するのか。その漠然とした不安が、震災以外の要素に対しても潜在化するようになった。
しかも、どうすれば不安に対処し、取り除けるのか…ではなくて『不安を感じずに暮らせるか』が焦点になっている。
それば私の本音に近い。
