落果春告…2
しかし、考えてみると都内は温暖を通り越して、真夏など熱帯に近い。猛烈な暑さである。
果実、柑橘類には最適な場所になりつつある。手入れが問題にはなるが果物を公園や街路に植えるのは、面白いかも知れないね。
食べ放題にしたら、あっと言う間になくなるかな。
と言うことで、頭上に落ちてきた夏蜜柑を切ってみた。
…味はどうかな。
…!、ぇぇえぃ、美味いじゃないか。適度な酸味が爽やかで、春の涼風が吹き抜けるという感じ。大都会の真ん中で期待などしなかったが、
グレープフルーツに夏蜜柑テイストの酸味が加わり、思いの外だ。
思えば、もうすぐ都会を離れる私に夏蜜柑が別れを告げたのだろうか。最後に、蜜柑が実っている事を自ら教えてくれたんだな。
ちょっと名残惜しい。そんな甘酸っぱさが部屋に残っている。
最後の一欠片で果汁を絞り、ウオッカで割ってみた。ワンショットの別れの酒。

