いすゞ・ベレット
車の雑誌を立ち読み。滅多に運転はしないが車のメカ記事は好きだ。そこで、子供の頃に見た『いすゞ・ベレット』を思い出した。
昭和四十年代、まだ無舗装の東北地方の街道を叔父の運転でドライブしていた時だ。猛烈なスピードで後ろから来た車が砂煙を上げながら、我々の車を追い抜いていった。タイヤに砂利を噛み込むように田舎道を疾走する『ベレットGT』は、とても逞しく見えた。エンジン音も異質な響きがあって、ちょっとたれ目気味の独特なリアデザインが印象的。我々を追い抜きながらウインカーを輝かせてゆく、赤いライトが目に浮かび上がった。
その思い出があって、急に走っている姿が見たくなったが…どこに行けば走っているのか。誰かベレットに乗せてくれないかな。
ちなみに叔父が運転していたのは発売されたばかりの『フェアレディZ』で、かなりレアな車ではあった。
しかし、子供の私は走り去ったベレットに関心を示し『ぁあ、ベレットだ。格好いいなぁ…』と呟き、せっかく甥の少年を自慢の車に乗せたのに、叔父のプライドを少し害したようにも思う。
今に思えば、舗装されていない道をベレット、フェアレディで走る東北の田舎者同士なわけで、あの凸凹道を疾走する行為自体、スポーツ車にとっては場違いで無茶な話だった。
