曖昧な筋肉
病院から戻る。晩秋の雨は、いささか冷たい。
急に身体が老化したわけじゃないだろうが、診察の結果、首のリンパ節が腫れているようだ。
いつから痛みがあったのかも不明で、気がついたら痛くなっていた。飲み過ぎも原因か…喘息の吸入薬で喉が荒れたか、など考えたが、どれも違う。
人生の晩秋、日の暮れるのは早い。
そう思って、安静にせよ…とは言われているが、室内なら良いだろうと狭い場所だが稽古してみた。
玉之段…宝珠を盗み取って逃げんとすれば守護神追っかく…
で、下居から膝立ち変えての動さが、以前より苦痛になっていた。
下半身自体が思い通りに動かない。すでに鈍ってしまったんだ。素人の舞台とは、そういう情けない惨めなものだ。
残った筋肉と緩みきった気力を締めて、数日後に迫った舞台に臨もう。
