能『江口』…宇宙の消滅 | HOODのブログ

能『江口』…宇宙の消滅


学生時代に読んだ記事では、宇宙に存在する全ての物質が寿命を閉じる時、光の粒とニュートリノに分かれて消滅するのだ…と。
もし、光とニュートリノに分化する時に人類の生命が維持されているとは、およそ思えない。しかし、その場に居合わせたとするならば、身体に痛みや苦痛はあるのだろうか。電子レベルでの解体に感覚があるとは思われず。だが、そういう末世や摂理の終焉を感じていた時代が、日本の中世だとも言われる。その思想における中心人物の一人に一休禅師がいる。
この一休が作成、作詞したとも伝わる能がある。それが能『江口』という曲だ。


能『江口』の最終段落、その章句に『光とともに白妙の、白雲にうちのりて…』とある。
万物が消え去る瞬間、広大な宇宙が広がりを見せ輝いて消える…そういうイメージを、この能に描かれた詞や構成は抱かせる。


むろん、時に現実を厳しく眺め、ある時は穏やかに接した一休に絶望や破滅願望はない。人は産まれた以上は生きるべきだ。それだけで良いじゃないか…と。

人生に個々の貴賤はあるだろうが、もし貴賤があるからと言っても、人は無意味ではなく価値に変わりがない事を、我々はどう解釈するのか…そこが解決しない課題なのだろう。