遭遇力 | HOODのブログ

遭遇力


たまに自分のとは異なる毛髪が部屋で見つかる。私も髪は相当に長いが、色や質感が違う。むろん、心当たりなどない。電車内などで服に付いてくるんだろうか。

怖い。


連日、新聞には殺人事件が報道されている。統計的には凶悪事件は減っているという。しかし、事件密度と言って正しいのかは不明だが、都内ならば地区ごとの発生数などは、いささか気になる。

学生時代、杉並区に住んでいた。実は、私の居住地区は変質者や凶悪事件が多かった…らしい。何しろ、男子学生であったから痴漢が帰り道に潜んでいる事など知る由もない。

近所に越してきた知人の女性が、『この辺り、変なの多いんだよ。ロングコートに全裸男とかさ、知らなかったの?』
そうか…私が通りすぎるのを息を潜めて闇に隠れていたんだな。

むしろ、後年になってから恐怖を感じたのは痴漢ではなく某カルト教団の勧誘だった。

深夜、帰宅すると、今は収監されているメンバー達の名前付メッセージが、必ずポストに入っていた。

しかし、バイトと能楽漬けの毎日で早朝に部屋を出て、帰宅は終電間近であったから、誰かに会う事は皆無だった。

そう、一度だけ部屋にいる時に遭遇した事がある。美男美女の二人組で、話の具合から教育関係の学生を集めているようであった。

この半年後、私は杉並を離れた。憧れであった井伏鱒二の死去で魅力を失ったからだと思う。

もちろん遭遇力で私は井伏先生には二度お会いしている。憧れが強すぎて、ただ気後れして挨拶も出来なかった。