特攻花…2 | HOODのブログ

特攻花…2


昔も今も変わらぬ芋畑。

特攻花で一つ思い出した。

このブログでも以前に書いたと思うのだけど、私が高校生時代の事だ。
列車通学で使う最寄り駅で、時おりに姿を見せる老婆がいた。朝方と夕方だけ駅待合室にいて、学生服の我々が乗降してゆく風景を見ながら、改札口で幾度も『万歳』を叫ぶ。

特に列車が汽笛を鳴らして発車すると懸命に我々を見送りながら万歳をする。
その風景が一年半くらい続いた。

息子達を戦争で亡くして、駅で見送った記憶だけが鮮やかであったのか、全部生活の記憶を喪失しても息子の出征だけが残ったのだろうか。

我々の学生服が軍服に見えるらしい。息子の出征を栄誉と思って送り出したのだろうか。どちらかと言えば老婆は、いつも笑顔に見えた。

そういう哀れな話を周囲の人々や駅員も知っていたから、老婆を邪魔者扱いもせず見守っていたようだ。

地方には、そういう話が戦後数十年過ぎても、人目を憚るように生きていた。