天人菊 | HOODのブログ

天人菊

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もうすぐ八月も終わる。七十年目の終戦、首相談話などの話題も旬が過ぎたように誰も口にしない。


実家近くの空き地、いずれは宅地に変わるだろう。元は大きな邸宅があった場所だ。そこに天人菊が咲いていた。特攻花とも呼ばれる花だ。

天人菊が、なぜ特攻花と呼ばれるのか、特攻花は桜であるとする説、金鶏菊が特攻花とする説など様々にあるようだが、いずれも私は真実だろうと思う。

若者が戦争で死ぬ。その悲劇に真実も虚偽もない。死に至ったのは事実だ。
彼等は還ってこない。彼らを見送った花は様々にあったと思う。


夏の始め、地方に行って旧家の庭先に天人菊が植えてあるのを見かけると、『この家は、もしかして戦死した方がいるなかな…』と考えたりする。
徴兵で、あるいは学徒出陣で前途を絶たれた若者等、特に戦前の教養主義を支えた学生達が去ったために、戦後の日本は『教養を捨て、徒に堕落した』と私は思っている。大きな財産を国家は死に追いやった…その責任は重い。


庭の跡地に一輪だけ咲いている天人菊は、去っていった主を思って、自分を植えてくれた昔を懐かしむのだろうか。