ジャンクカメラ | HOODのブログ

ジャンクカメラ



ジャンクカメラを買った。千円+消費税。

ミノルタSR-1s…1967昭和四十二年に発売。四十八年も以前に製造されたカメラ。
部品取り目的でジャンク棚に転がっていた。右肩部に凹み、各部に細かいスレ、やキズ。古びた姿に現役機の勢いはないが、確認するとメカ系は十分に作動している。ファインダーを見る限り、前の所持者は一度メンテナンスに出してはいたようだ。
底蓋に『フィルム装填に注意、逆向きに差し込む!』とシールまで貼ってあり、さらに裏蓋側にもある丁寧さ。

個人持ちではなく、何かで共有される備品カメラだったようだ。写真部やサークルなど複数の人が使用するカメラであったような気がする。

露出計やストロボシューもなく簡潔なスタイルは、カメラ本来の美しささえある。
しかし、古いカメラには様々なトラブルがつきものだ。このカメラも例外ではなく、交換レンズのロックが利かない。ピント合わせでヘイコイド回しているうちにレンズが脱落する危険がある…しかも、純正のミノルタレンズすら装着されず拒否状態。

しかし、今はなき無名メーカーのレンズはロックが入る…という事は何か手立てがあるはずだ。

最初、マウント部を解体してみる。部品に欠落や破損はない。…ロックピンを押し上げるとクリック音がありレンズが嵌まる。

ふむ…ならばとロックピンの開口部を精密ヤスリで少し拡げてみた。

カメラを組戻し、再度のレンズ装着。
ぉお…予想通りにロック閉鎖、解放が作動。安心して純正のミノルタレンズが完璧に使える。

これで一応の修理完了。そして私は、このロートル一眼レフを下げて行く当てもない小旅行に出る。



短い夜も、長い夜も明けない朝はない。
親しき友人。
懐かしき家々。
愛しき女達。
人生は短く、やがて夜は明ける。今日、この一日にさようなら。

旅先で、どこかで見かけても知らない振りをして、後ろ姿を黙って見送って欲しい。

さようなら。