記憶の補完…3 | HOODのブログ

記憶の補完…3


毛糸を編んだ乳幼児が履く靴下。これは数十年前に母が私に編んだ。ちょうど、前述のヌイグルミ落下事件の頃に履いていた。いや、ちがうな…もっと前か?

小さな足の主も、ひとまず無事に還暦目前の中年を向かえるまでに生きてこれた。乳幼児時代の服や小物が本人の中年以降まで残っているというのは、本人の思い入れよりも親の意向が強いと思う。
この靴下だけは不思議に捨てられる事を免れて、実家の箪笥奥にずっと引っ込んでいたようだ。
私の時代は児童服など販売されてはおらず、どの家庭も自家製だったと聞く。職業婦人であっても、主婦において洋裁は必携の技術であった。

私が、この靴下を履いた記憶まで辿れるのかは定かでない。それでも、ある春の日。オムツを母が換えようと寝かされて、そこへ突然小鳥が舞い込んできて、部屋の中で母が捕まえようする姿を覚えている。えぇ、その間の私は下半身丸出しで…いったい小鳥がなぜ、私を放り出して小鳥に?
春と記憶しているのは新緑の記憶、妙に暑かったからだ。

思えば、祖父も90歳前後まで曾祖母が作った着物を所持していたし(祖父は百一歳まで存命だった)、母親が作った着物、服や小物を身近に置くという事は長寿健康の祈願も含まれているのだろうか。