慰めにもなりはしない
某所。泣き崩れる女…さながら慰めの言葉もない。さて…私は嘘を付く間もないまま四月を迎えた。
桜の季節、散り行くまでを楽しむ予定であった。
異変
先週の夜、何気に耳奥から蝉が鳴くような響き、微音が聞こえだした。絶え間なく寝ても覚めても鳴り響く。
いわゆる『耳鳴り』である。聴覚神経の異常、加齢など様々な原因は説明される。
しかし…死にたくなるくらい辛い。夜は眠れず、昼間は集中力を喪失。こういう状況が、自分に発生するとは想定外だった。言葉を失う、音を失う、光を失う…人生には境となる日がやってくるものらしい。
音楽製作者のつんく氏は声帯を失った。その状況に比べれば私の聴覚障害など大した事はない。まだ聴こえるのだ。
あまり人には知られたくないが…ブログに書いていちゃあ意味がない。
写メの女性はブツブツと山手線の駅名を呟いていた。
『ガタンゴトン…次は目白、目白…ガタンゴトン…次は池袋…』
私が声をかけても顔を上げない。反応すらなく、そして彼女には顔がない。
実は…これは『椅子』なのだ。現代作家による社会風刺を込めた作品のひとつ。
座ってみると微妙に彼女の声が体に伝わってくる。
『新宿、新宿…終点です。終点、新宿です。どなた様もお乗り換えです…。
