余話『だったのだった…』 | HOODのブログ

余話『だったのだった…』


子供の頃、小説家になりたいな…と思った。あるいはコント作家になって、日々笑いを考えるのも知的で良い暮らしだ、などと思ったりした。

結局は努力とは無縁の私には『笑い話』すらならない妄想であったが…。たぶん、以下の話は一度ブログで書いたかも知れない。


とあるコソ泥窃盗犯がいた。彼は幾度となく盗みを繰り返し裟場と刑務所を行き来する生活であったが、あるとき窃盗事件以外の出来事で週刊誌の記事ネタになった。

彼は小説家志望であって、出所する度に出版社に原稿を送っていたのだ。その事を取り調べの刑事に自慢するらしい。

その辺りを週刊誌記者が嗅ぎ付けた。
で…ある人が興味本意に原稿を探してみたらしい。しかし、この泥棒作家氏は誤字脱字が甚だしく、その上に奇妙な文末で締める癖があった。
『だったのだった』彼の文章は全て、この『だったのだった』で終わる特徴があり、およそ小説の体をなしていない…と週刊誌記事は書いている。

この記事を読んだのが、私も小説家になりたいな…と妄想していた子供の頃で、当時の私には何か感じるものを得たのか。些末な記憶が脳裏に刷り込まれたようだ。しかしだね…この『だったのだった』を人物設定の表現として使えるんぢゃないのか。どうなんだろう。


『…うんにぁ、ちょくら話しても良いんだよ。あんた、そこに座ってくんちょ。あの宿の娘さぁ、あそこにある屋敷森越えたとこにある寺の住職と所帯持ったのだったのだったけど、その住職が東京にも二号を囲っているとかで、逃げるように帰ってきたのだったのだったさ。娘さんはぁ、この村では一番の美人で有名だったのだったけどぉ、帰ってきたら気が変になってしまって宿に泊まった見知らぬ男性客と関係するとか噂が出たのだったのだったぁ。それでも親御さんは娘が不憫で出戻りのまんま、ああして宿で面倒見てるわけよ…。』
私には狂女扱いを受ける娘の身の上よりも、この老人の奇妙な話癖に耳を取られ、さながら下駄を履いて泥濘を歩くような気分になった…。



とりあえず、人物的には『だったのだった』を用いる特徴的描写になっているはず…まぁ、再度推敲の余地があるが。


おぃ、お前。いい加減な思い付きで某文豪の作品一部を適当にパロっただろ…しかも、全然パロディにもなってねぇから…。

やはりダメだったのだった…お粗末。