点滴
この寒気、私の喘息疾患を悪化させた。新宿駅でのトラブルも影響したのだろう。やや無理をかけたら発作が止まらず、昨日は近所の救急に駆け込んだ。
医師『ひとます点滴をしましょうねぇ』
病院のベット、見慣れた病室の天井。たぶん、私が最後に目にする物体は間違いなく、どこかの病室で少しシミが浮いた白い天井だろう。
そんな事を考えていると看護師さんがトレイに点滴器具を乗せて現れた。
問診をしつつ、私の腕を取る。ここまでは通常の所作だが…ん、ん、ん…何か変だ。血管を探しているようだが。そんなに私の腕は難しくないはず。
そう。彼女の触診が下手なのだ。これは、挿菅技術が上手くないに違いない。間違いなく、今回は痛いぞ…。案の定、一回目、二回目と挿菅に失敗。血管に当たらずグリグリと、私の腕には穴が二つ。
結局、応援に来た別の看護師が挿菅して点滴開始。最初の看護師の方を責めてはいない。点滴を入れる技量が足りないという不幸な事実があるだけだ。
看護師として最高の技術があるんだなと実感したのは、脳梗塞を疑われてドクターヘリ要請で、お世話になった時に、私へ点滴をしたフライトナースだ。彼女は迷いや狂いもなく一瞬で針を入れた。まさに匠の技、職人に近い。フライトナースが基本的に点滴作業に失敗しては話にならない。それは当たり前の話である。
彼女が相当の美人であったのも手伝って、テレビドラマのシーンを連想させた。
※結局、ドクターヘリは来たけど乗るまでには至らなかった。
