火事と野次馬 | HOODのブログ

火事と野次馬

部屋で夕食用意をしていたら、通りを大型の消防車が走り去ってゆく。その行く先に立ち上る黒煙…『げっ、火事だ。』
 
 
火事は忘れた頃にやってくる。十年前に住んでいるアパートがボヤで焼けて以来、火事は数年おきに周囲で発生している。最近、火事はないなぁ…と思っていたら、これだ。
 
 
『野次馬は子供からオッサンも含めて男が多い…』あまりに近所の火事が気になる。とりあえず携帯を持って黒煙の方向へ歩く。いつしか周囲には、自転車に乗った青年やおっさん、犬の散歩にかこつけたお爺さん達、火事の野次馬は男が多い。それは男の本能かも知れない。状況の変化や事件、異常を確認するのは、古来から男の役割でもある。
 
しかし、写真家を名乗りながらもカメラは部屋に置いてゆく私。そうなのだ、私は報道ではない。
火事で生命を落とした方もいる場合もある。そういう惨事を野次馬根性で撮影する事は、本意ではない。撮影が野次馬であれば、それは無責任過ぎる。
 
だが、気持ちに反して私の足は火事場へ歩む寄る。ここまで来たら、火事らしい絵…写メの一枚くらい収めなければ、撮影者の看板が泣く。
 
 
『火事は怖い』
延焼してゆく勢いの火炎は消防車の放水を笑うかのように立ち上がる。放射熱が頬に熱く、黒煙が喉に刺さる。火の粉が降り落ち、周囲に積もる。もし大地震などで街が大規模な火災に見舞われた場合、簡単に逃れる手段や選択肢は少ない。
消化する手段が絶たれた場合は、いかに逃げるか…そんな事を思いながら。
 
最後に一枚。
 
翌日の報道で、今回の火事に死傷者はいなかった。それだけは救いである。