気持ち悪い… | HOODのブログ

気持ち悪い…

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前述したブログにも載せた『謎の海洋生物』…一説ではウミウシの仲間らしい。

こんなヤツが海を漂っているとはね。

朝、目覚めると、私は海岸に打ち上げられた赤いウミウシと化していた。
声も上げられず、ただムニャムニャと砂浜を動き回るだけの肉体であった。

やがて、私の周囲に人々が集まってきた。
その中には、両親や妻の顔もあった。


…人が人の形態を失って、初めて人としての存在を問う。
こいつが人間であった場合、人は『愛』など維持出来るのか。
もし、この赤い生物が若い女性であったとしたら、彼女の恋人であった少年は、それでも欲情出来るのか。赤い生物を眺めながら自慰は可能か? 


こういうネタ話は今更であって、偉大な先人達の作品を読めば良い。
そういう先人達に、あえて挑戦したのが昨夜見た『新世紀エヴアン…』であろう。
ただ作者の庵野は、言いたい事を並べすぎたようにも思える。しかし、一つあげるとすれば、他者との境界を有すること、その畏れを否定せず認める事。それが自己の始まり…とラストで問いかけたのは秀逸であった。
それは、村上春樹の小説『ノルウェイの森』の終わり、ミドリとの会話にも他者との境界を認識し始めた主人公が描かれていた。

確かに、我々が直面している問題は他者と自己に隔たる境界に対する畏れである。むしろ、我々は同一化することによって問題解決を図ろうとするように見える。各地で扮装や戦闘行為が絶えないのは、同一化を原理主義のテーゼとしてしまった事だ。…そう考えると、このアニメ作品は厨2病的ではありながらも、間違いなく『人類補完』という正鵠を射ている。

『世界に一つだけの花』を追うのは、もう止めにしないか?…と、誰しもが思っているはずだ。

アスカの言葉『…気持ち悪い…』とは、自我と他者の存在を肯定し、その煩わしさや面倒な手間と暮らしてゆく事、その素直な気持ちの始まりなのだろう。