白衣の天使 | HOODのブログ

白衣の天使


手術中の点灯…刑事物、病院ドラマでは必ず見る光景だ。

しかし、中で手術を受けているのは私。手術台は幾度も上がっているが、気持ちの良い場所ではない。

それは、まな板の鯉状態。

手術室に入ると小柄な若い女性スタッフ達がスタンバイしていた。マスク越しの彼女等は『美人』に見える。皆、美白なのが共通している。
…台に載せられ、計測器を付けられた。

説明する看護士二人が、まるで『なこみく』のように可愛い話し方だ…中年男の私としては、悪い気はしない。


そこへ…本日の執刀、○○に換わりまして私が担当します。宜しくお願いします…と、執刀医が登場。

どう見ても、『執刀医板野友美』である。これまた『可愛い』。話し方も柔らかい口調の中に的確な指示をする。


手術は『ともちん』の手によって順調に進む。麻酔で痛みは皆無だ。時折、看護士の方から石鹸の良い匂いがする。

最近の手術室は音楽が流れている。以前、白内障手術をした時はEXILEだった。
今日は、何やらジャズボーカル…。


軽い手術ではあったが、適切な医療を受けられる日本のシステムに感謝しよう。
国民健康保険制度を否定する向きもあるが、自分が病気なれば有り難さを実感できる。

ところで…美人女医と看護士に囲まれて気分は最高!、とばかりは言えないのだ。

私は幾度か大病を経験して意識を失いかけた事がある。その朦朧とした私の目の前に、何故か数人の美女が出現するのだ。

初めて見たのは四歳の時、腹膜炎を悪化させた時だ。ドアが音もなく開き、すーっ、と滑るように若い女性達が部屋に入ってきて、私を見ながら『ひそひそひそ…』と相談して、部屋から出て行く。

以来、ヤバイ病状の時に私が忘れた頃にやってくるのだ。

夢、というより幻覚である。この幻覚を、今日も思い出した。この状態が、まさに。ぁあ、こうやって…いずれ迎えが私に来るのだな。私が彼女達と一緒に連れ出された時が……。


もっとも、まだ迎えを呼ぶ予定はない