新宿・成覚寺
手向けの花・
夏は幽霊も、一つの納涼のアイテムだった。そう言えば、最近はテレビ番組でも幽霊ネタが扱われなくなったように思う。怪談も古典扱いだからね。
例えば、墓地で写真を撮ると何故か病気になる…そういうジンクスが私にはある。
しかし、写真家たるものジンクスごときに撮影を諦めるなど笑止千万だ。
そうやって、やっぱりな…と思ったりする。
だが、ジンクスなど信じてはいない。
単純に病気がちな体質だから、それが人生だ…と開き直る。
とある能楽関連の講演で、幽霊と我々との関係を『和解』である、と説明してくれた文学者がいた。
生きているゆえの悲しみ、死した者への償い、その和解なのだろうか。
新宿区・成覚寺。
賑やかな繁華街が続く新宿区、その街中にある寺院には遊女達を弔った史跡がある。
そこは新宿二丁目(ある意味で特殊な場所の代名詞)の繁華街裏にあって、寺内はひっそりとした空間で悲しい末路の人々の魂を鎮めている。
以前から訪ねてみたいと願った場所の一つであった。
客と心中した遊女とか、事件に巻き込まれて死んだ遊女の名前を刻んだ碑と地蔵がある。弱者への社会保障など少なかった時代の悲しみを感じながら、墓地から二丁目街を眺めた。
墓地に手向けられて萎れた花、草蒸した石碑の周囲。遊女達が眺めた新宿は、ここにはない。
こういうシーンを撮るとき、絵にしようと思ってはいけないんだろう…そう自省しながら、構図を考えてしまう私がいる。
