古本…2
『有識故実研究』石村貞吉編・昭和十年初刊・学術文献普及会刊。
この本が何より素晴らしいのは、図解などが一切ない事。
戦前の解説注釈書であるため、全て語句による説明。漢字も旧漢字などが多く、一頁読むのに時間を費やす。学習指導に使う国語要覧を見た方が早い。
しかし、例えば…『大将軍の御出立ちには、赤地の錦の直垂に、紫裾濃の御着背長、鐙ふんばり鞍笠に突っ立ちあがり…』謡曲八島より。
などの語句を詳細に理解したいと思うと、意外に解ったつもりが盲点だったりする。
少なくとも不勉強な私には、正しく説明するための情報ソフトであるのだ。
しかも、この本は理解に集中しないと読み下せない。ながら読みが不可能で、何やら大学のゼミ予習を思い出させる手間が必要となる。結局は国語要覧と古語辞典、謡曲集などを傍らに積み上げての悪戦苦闘。
『重藤の弓をとらせ… 』なんて表現は当たり前に出てくるけど、その構造に対する疑問も、この本で初めて氷解した。
今さら、学んでも仕方ないし手遅れなんだけど…さ。
