妄想も現実の一部
これは妄想なんだけど、ふと…子供の頃に暮らした街に行ってみたくなる。
そこで、子供の姿をした自分を探すのだ。
当時の私は、学校で疲れきってしまい勉強どころではなかった。下校中の、疲労してぼんやり歩く自分の姿を再確認して、今さらどうしようもないが、そんなに悲観したものでは無かったよ…と言ってあげたい気もある。
バカはバカなりに人生は用意されてある。
帰宅した両親とご飯を食べて、お風呂に入って…また明日がくる。そういう暮らしをしていた街。つまりは思い出さえも、現実と経験が混濁した記憶になってしまって、今は言葉しても妄想に近い。
あるいは、死んだ私が、自分の生きていた時代に戻ってみる。そこで死は全く自覚されないんだけど、死に至るまでの自分に納得できれば良しとする。
納得できなければ、やり直す。あるいは修正してみる。
その妄想から覚めると、やはり新しい朝が来ている。何か変わるのかと言えば、なにも変わらない。
道端で拾った本を私は公園のベンチに座って読み、読み終えたら夜になってしまい、辺りは真っ暗だ。私は本をベンチに置いて立ち去る。
やがて誰かに、また朝がやってくる。

