厚岸駅の牡蠣飯
寝台列車『北斗星』が重厚な響きを残して走り去った。
夕方の上野を出発して、夜を駆けて札幌を目指す。
一晩、寝れば北の大地に着く。
以前、仕事を辞めて、明日より朝から何もしない日々が続くと思った夜、ちょうと『北斗星』が入線してきた。
このまま、乗って北海道を放浪しようか…そんな妄想にかられた。まとまったお金もあったから、しばらくは暮らせるだろう。
本気で実行しかけたが、季節は真冬。
東京暮らしの服装では、札幌に降り立った時点で極寒に瞬殺される。
思い止まったが、今に思えば、私は行くべきだった。行って考えれば良かった…と思う。
そんな記憶を辿りながら『北斗星』を見送った後、駅弁売り場を見たら『厚岸の牡蠣飯』があるではないか。
いつ、買う?
…ぇえ、買いましたよ。
あっさりとした醤油味。牡蠣の風味が良かった。
自分で調理した牡蠣しか滅多食べないんだけど、確かに名残の冬を偲んだ。

