運足の稽古。 | HOODのブログ

運足の稽古。


履き潰した足袋。穴の位置で私の運足癖が明解。舞台を支えてくれた足袋だけど、このあたりで私の足から解放してやろう。

『運足』とは能楽実技の用語の一つ。ハコビとも言うけど、舞台を舞う演技者の足の運び方を言う。

あの役者はハコビが美しい、この演者は足使いが汚い…と評価される一点でもある。

極端な表現を許されるならば、能は『運足が美しければ、他は何とかなる』と言っても良い。謂わば、まさに基本。玄人素人を問わず、運足には日頃の稽古や解釈が如実に現れてしまう『技術』なのだ。
ずっと稽古に使ってきたから捨てがたいけど、ボロボロになった足袋を休ませてあげるのも、また能における考え方だと思う。

穴が空いたから捨てるのではなくて、穴が空くまで稽古で使ったから休ませるのだ。

稽古とは、そういう世界が日常にあって成立するもので、単純に綺麗な足袋で着飾って得られるものではない。