針仕事百年の計
今日一日、納品作成以外は用事(仕事もなく暇って事さ…)もなく。部屋で一日中、襦袢やらコートやら、果ては靴下、布財布まで繕う針仕事で始まり、針仕事で終わる。
洋裁はおろか和裁など知らない…だから、適当に縫うだけの作業。
靴下は穴が開いたら必ず布を当て、それがダメになったら捨てる。
コートは多少の痛みは気にしないが、とにかく縫う事で体裁だけを整える。
問題は襦袢だ…紋付きの下に着るわけだが、あまり見映えがしないのであれば新しいのを買うしかないだろう。
そこは、やはり舞台衣装なのだ。ある意味では戦地に赴く装束に等しい。
裁縫の感というか、運針や針の好みは父方の祖母から習った影響がある。
私の通う小学校で家庭科授業があり、袋カバンが課題。そこで、祖母から布目の見方や、針糸の引き、短針を教えられた。
祖母の時代、明治三十二年生まれの女性には、何より洋裁、和裁は人生必携の技術であった。いくら学校で勉強が出来ても所詮は女には家事能力が必要な時代だった…そんな話を横で話すお婆ちゃん。
蛇足だが、祖母は小学校時代学年で常にトップ。後に海軍中将になった同級の男子生徒を数学で次席に追い込むくらい秀才だった。
袴にブーツを履いてテニスをしていた話やら…だから祖母は、当時テレビ放映していたアニメ『ハイカラさんが通る』を毎週見ていて、何やら納得していた…そんな記憶も。
とにかく、針仕事を祖母に教えて貰った事は、今は大いに助かっている。
何しろ、祖母が使っていた裁縫道具を私が使っているんだから、何とも時間の長い話だ。
(実家の母は、祖母の道具には見向きもしない。そこは女同士のなんちゃら…だろうな)
『針仕事って、使う針が違うだろ!』
