忘れていたもの | HOODのブログ

忘れていたもの

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私が、初めて能撮影を依頼された時の機材。ミノルタXEに望遠135ミリ、50ミリの標準。XEは静かなレリーズ音と巻き上げで舞台撮影向き、望遠レンズは柔らかく繊細な描写をする。


これで、私は知人(能楽師)の初能を撮影。まだ写真の勉強を始めた頃、機材も充分に揃わず怪しいカメラとレンズの組み合わせであった。
一応は一眼レフの形をしているが、難有りの機材だった。…普通は、そういうカメラをジャンクと呼ぶ。
もちろん普通ならば撮影なんかには使わないだろう。
これで、私は本舞台撮影に臨んだ。能撮影に使える機材は、これしか無かったのだ。


ひたすら必死で、機材の壊れかけた箇所を何とかセーブしながら、初めての能公演撮影に挑んでいた。

この時の写真が本当に舞台撮影、第一歩であった。
能の撮影依頼は嬉しかったし、そういう喜びとか舞台に対する尊敬があって、初めて無事に撮影は終わる。おそらく知人も初舞台であり、必死の演能だったはずだ。


その後、カメラは部品を手に入れて自分で修理した。今でも、スナップカメラとして現役で使う。このカメラを手放すと初心を忘却するのではないか、と思う。自らの技術を自画自賛しても意味がないし、それが次の撮影を保証するものではないからだ。