遊び道具
急ぎの私用で前橋まで出掛ける。台風の後で天気も良いし、撮影遊びもしようと銀塩カメラ一台、28ミリレンズ一本。
メモ撮影は携帯写メで良い。
車窓から眺める初秋の上州路は、色づいた稲穂が見えていた。畦道の雑草を丁寧に刈り取って、朱色の彼岸花だけが花を揺らす。
農家の方々が丁寧に雑草を除いて、彼岸花を残しておいたのだろう。
彼岸花には周囲の草の養分を吸収する作用があるらしい。
雑草避けになる…そんな理由から水田や畑、墓地に植えられたと言われる。
列車が、一瞬に通過した河川の河原、つがいの五位鷺が見えた。
逆光の水面に影絵のように鷺の見つめる姿が浮かぶ。一瞬の絵なのだけど、営まれる自然の姿が崇高でもあった。
えっ…?
そんな一秒足らずの時間で鳥が見えるのかって?
見えるんだな…これが。
私の列車旅における趣味みたいなもので、風景に何かを発見して楽しむのだ。
とりわけ、鳥や動物というものが草木とは異質な存在である以上、必ず発見できるものだ。
雉や鷺、鷹などは特徴があるので一秒以内に判別可能。
意外に迷ったのは、以前に水郡線の車窓から目撃した猪だった。悠然と田んぼの小道を歩く首の短い黒い犬…
?
あんな太って足の短い犬っているのか?
しかも後ろから似たような姿の小さいのが数匹、あっ…あれはウリボウだ。
大きな猪の親と子供達。田舎の農道を歩いて、山のねぐらに帰るのか。
それは、人間の作った社会とは全く違う『家族社会』を強く感じたものだ。

