飛行機マニアの呟き | HOODのブログ

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『風立ちぬ』の堀越青年の夢に現れるイタリアの航空機設計者カプロニ伯爵の迷作…カプロニCa60。
見ての通り…迷機の横綱。(伯爵の声は野村萬斎)…それは別にどうでも良い。


このカプロニ伯爵、実に夢のある飛行機ばかりを作っている。

ある意味で素晴らしく、まさに前衛。
あるいは時代を読みすぎて成功せず。

夢だけを飛行機にしたデザイナーの一人。そこがイタリア人らしさで、あまり拘りが少ないのだな。


そこへ行くと、イギリス人は理論的成果より現実的飛行機を求める。そして反って成果を得ず、また夢もなかったりする。(センスの欠片もなく、珍妙さでは類を見ない)…もし、名機スピットファイア戦闘機がなかったら、永遠にダサい空軍だったはずだ。

ライバルのドイツ。
最先端の技術を開発したと思われているが…理論的には正しくとも現実離れな実態も多い。それら航空機は夢というより、欲望に近い。

あのMe262戦闘機は画期的だが…もうドイツの工業力では生産は不可能であった。
戦後、ドイツから設計図をセコく奪ったアメリカはF86を産み、同じく図面をかっぱらったソ連はミグ15を送り出して、両者は朝鮮半島上空で戦った。

あの戦争以降、飛行機設計は超金持ちで欲望国家が支持しなければ成功しない存在なのだ。
しかも優秀な設計者や工業力、工場がないと飛行機どころか、ネジ一本も作れない。

さて…カプロニ伯爵。そんな欲望とは違う次元の設計者だった。だから、航空機発達と共にカプロニ社の飛行機は陳腐となり、時代の雲間に消えていった。

日本や朝鮮、ベトナムと爆撃しまくったボーイング社製品とは違う。

でも、カプロニの飛行機には夢があっても、儲からないんだよな。やはり沢山の人を殺せる飛行機ぢゃないとね…。