家日和…先に見えるもの
昨日の早朝。出先で、仕事の前に蓮を撮った。
やはり、蓮は早朝に限る。
今日は都内のラボへ。しかし、昼過ぎには西空から黒雲が張り出し、やがて強い雨となった。夕立だろう…。処が、雨は止まない。
結局、夜半まで降り続く。
連日の猛暑に続き、雨季を思わせる。
俄の豪雨の中、傘を片手に自転車を走らせる。
傘を指して片手で自転車はイケナイのだそうである。
だが…数十年前、小学校で受講した自転車教室。担当の教員は元海軍パイロットで、曰く『自転車は、本来は傘さして片手で乗れるくらいの技術がなければ、自転車を安全に走らせるなんて到底、出来ない』…と。
そんな事を小学生に言う教員も、今はいないだろう。
短編集『家日和』奥田英朗著・集英社文庫。 ナツイチ課題担当は峯岸みなみ。
部屋に帰り、布団に転がって読む。
『ここが青山』
幕末の僧月性※が書いた漢詩をキーワードに、この小さな作品は書かれている。
至ってシンプルな話である。
勤め先の倒産により主夫に目覚めてゆく平凡な会社員を軸に、再就職した妻、一人息子。多少の困難があっても、平和そうに見える家族の風景。家族の支え…困難に対して何より大切なものではある。
しかし、この主人公は、この後も主夫を続けるのか…たぶん、違うのだろう。
亀裂すらない夫婦の信頼関係。突如、そこが崩れて行くのは彼ら夫婦ではなく、外側から侵入してくる力作用なのだ。むろん、そんな描写はない。
最後まで、暖かい話である。
それでも、幼稚園に息子を迎えに行き、美しい夕日を眺めながらの買い物帰り。妻の帰りを待ちながら、家で夕食を作る主人公に破滅の未来を、私は感じてしまうのだった。
こんな事、みぃちゃんに話したら…『うーん、』で事故だな。
※僧月性は江戸幕末、尊皇攘夷派の僧。熱心な国防論を説き、海防僧と呼ばれた。
…人間(じんかん)至るところに青山あり…の詩で知られる。
