能面・痩男
能には様々な能面が存在する。
能面の個性が、性別や主人公の性格・肉体までを決定すると言っても良いだろう。
紹介するのは『痩男・やせおとこ』
亡くなった男の亡霊を演じる時に用いる。
執心や嫉妬、様々な憎悪などを残したまま亡くなった霊を演じる面だ。
普通は、完全に死に絶えた風貌で作製されるが、紹介した痩男は断末魔的に息を残している。
まだ死んではいないのだ。死を目前にしながら、何かを求め探しつつ、生々しく瞼が動きそうな気配を漂わす。
主催者にお尋ねしたところ、この能面は、あまり使われた事はないそうである。表情がリアル過ぎて演じ難いらしい。
能『通小町』や『善知鳥』に痩男の面を使うのだが…この面、その性格ゆえに、能役者側からは『干されている』わけだ。
しかし…。
ちょいと、この痩男が私は気に入った。
こういう素顔が、私の心に住んでいるのかも知れないね。
アニムスというヤツかな。
