干しメン
そうして無駄に手間隙かけて、高コストで作った干物を夕方焼いたよ。
普通に美味い。ご飯が進む。酒にも合うだろうね。
作るのに二日費やして、あっけなく食べ終わってさ…。
このクオリティで干物売るなら、一枚千円ってあたりかな。
『鯵の干物一枚千円だと?ふざけるな、嘘だろうがっ!』
僕は、ふざけてなんかいないよ。
ちゃんとした国内のコストでやるんならば、そういうものだんだ。
君は百円前後の鯵干物しか知らないんだ。
『嘘だろうがっ!』って…言い方が気に入らないな。それって、誰かの真似だよね。
ははん、君は本当に可哀想なヤツなんだね。
確かに機械で干すことも可能だよ。石油を運んで来てさ。沢山燃やして干物作る方が表向きは安くできる。
でもさ、石油を大量に買い付ける事が条件でタンカーで運ぶんだよね。
そのために、目に見えない経費支払って、いつもピーピーな経済状態が僕たちの実態だって、そう思った事ないかな。
この鯵だって、どこかの漁師のオジサンが早朝に船出して採ってきた魚だよ。
なのに、売れ残ったら仕方ないって…無駄にしてないかな。
そういうのをね。本当の意味で『亡国』だと僕は思うよ。
