針仕事から見えてきたリーダーのあり方。
撮影仕事以外でも、舞台を手伝っていると、役者やスタッフには様々な事が要求される事が見えてくる。
特に能に限らず、必須の作業の一つが針仕事なのだ。装束の繕い、舞台衣装の合わせなど舞台前の針仕事は多様だ。
私は人が巧みにやっていると覚えたくなる癖があり、最近は何かにつけて部屋で縫い物をする時間が増えてきた。
縫い物は単純に見えて緻密な針の動きが求められる。そこは私の趣味でもあった模型工作と似ているのだが、何かが違う。
では、何が違うのだ…?
どうやら縫い物は、指先の手作業ではあるが、建築や大工仕事に近い。第一に、人が着用する目的のためにあり、もし裄や裾など上下水平が狂っては体は動きは取れない。
またデザインや生地の選び方も、結果的には家屋の建築と似たものを感じる。
超個人的理由の推しが所属する某グループに、『しのぶ』と呼ばれている衣装担当の女性がいる。彼女は、見るからに『棟梁』と称しても違和感はない。話し方は鋭さと柔らかさが同居していて、味わいのある女性に見える。
私は、本当のリーダーという人は彼女みたいな能力があって、未来へ組織を導けるのではないか…とも思ったりする。
そこに、特別な力強い言葉もないし、スローガン的な指導体制があるわけでもない。
しかし、正確な計画性を実行する傍らで、『人間のおかしみ』と言うか、不思議に(もののあはれ)を知っている人こそ、実は次世代のリーダーに向いている…と、私は勝手に解釈している。
ゆえに、最近の政治家にありがちな言葉の陶酔、演劇的な趣向に一抹の嫌悪を捨てきれないわけだ。
さて…最後に祖母が私に教えてくれた針仕事の一カ条。
『針は作業に入る前、終わった後、必ず針の本数を確認する事』…成功への秘訣身近なところにあったりする。
