青春を語るには歳月が必要。
Every dayカチューシャ…実は、当初は好きな曲ではなかった。遅ればせながら、河西智美のセンターで見て、この曲の良さに気づいた訳だ。
能の用語に『シテ』という役割がある。
舞台で主人公を演じる役割を『シテ方』とも呼ぶ。
シテの技量によって同じ曲番組でも、印象は違ってくる。
多少の強引な例として考えれば、シテとは能のセンター…。あるいはグループのメンバーから選ばれたセンターとは、シテの意。
いささか…回りくどいか。
ところで、『海沿いの…』と歌詞に描かれた海、海岸はどこなのだろう。
無難に考えれば、海の定番として湘南なのか。
むしろ、この曲は尾道や長崎の海あたりが、意外と似合うように思える。秋某氏の詞には、東海道以西の空にある日差しの明るさを感じるからだ。
そして『何年間も僕たちは友達のままさ…』地方で学生生活を送る青春期…でも、どちらかが進学で都会へ出て行く。この夏が終わったら受験が始まって、やがて『あっと言う間だった別れの日…』なのだ。
すでに、互いの人生が異なる道を歩み出している自覚。それは青春の残酷さであるかも知れない。
海は閉ざされた精神を解放する世界だろう。しかし、一方で海は大きく広がる入り口を示している。次の世界へ踏み出す道が開けている。
海に臨みながら留まる人生もあり、一歩先へ漕ぎ足す人生もある。それが青春の別れ。
『…恋は、いつか気付くものさ♪』…この主語は主人公なのか。あるいは彼女に当てた思いなのか。
ふと…口ずさみながら、考えてみたりした。
もう、私には青春は彼岸だけどね。
