狂言『横座』 | HOODのブログ

狂言『横座』

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もうすぐ、ひな祭りだね。

本業の…?舞台撮影に昨日復帰。

演じられた能は『熊野』(くまの、ではなく…ゆや、と読む)、『須磨源氏』の二番。
狂言は『横座』…野村万作師。

私は、能の粗筋や作品研究はブログにも書くが、あまり能評や、舞台感想は職務的な理由も含まれるのでやらない。

しかし、昨日の狂言『横座』は仲春らしい季節感に満ちていた。横座と名付けた一頭の牛を巡り牛買いと、牛を拾った男との人情小話である。
小さな佳作であり、大曲ではない。
何より、万作師の衣装『肩衣』に描かれたマンサクの花が、春ならではの演出として成功していた。
軽い洒落なのだろうけど粋である。

牛、マンサクの花、牛買いの男達…どこかの地方、早春の山道を行く農夫、そういう風景が目前に広がる。

民俗学者宮本常一著『失われた日本人』には、私の記憶違いでなければ…四国の山間部に暮らす農民が、痩せた牛を立派な牛に育て上げる話が記述されている。


『横座』を見ながら、そういう時代の景色に浮かびあがる人々を思った。
一頭の牛でも大切にして愛する昔の人々、それは現代人がいつしか忘れてしまった生命観なのだろう。


能『熊野』も都の桜が主題である。
古典の楽しみは、行間から季節の色彩を楽しめる事だ。