チャラ男が戦場に出て行く。
チャラい若者は運転する車を飛行機に代え、裸みたいな薄着でアイスをなめていたギャルが、朝からB29を組み立てる。
叔父の手紙にあった米国の様子。すでに自家用車が普及しつつあり、休みにはガールフレンドと青年が遊んでいる。女の子も自由な服装で、社会生活を楽しんでいる。
その背景に圧倒的な資本力と経済政策があり、工業製品に慣れ親しんだ米国の若者が見えてくる。
真珠湾攻撃の後、アメリカ大統領は自動車企業の役員を招集して航空機の大量生産を依頼。フォード、ダコタ、クライスラー、GM等は工場を拡張し、人員を募集、そうして多くの女子学生や主婦が集められて、用意された製造マニュアルに従って増産を開始。
さらに車のタイヤを製造していたGoodyearには、巨大な航空機用タイヤの製造注文が入る。
こんなタイヤが必要な重い飛行機ってアメリカにあったか?
いや…これから予算が付いたんで本気で開発するらしいよ。
それが戦略爆撃機B29である。
本来はドイツ爆撃の目的で開発されたが、転じて日本の都市を焼き払う結果となった。
そして操縦するのは、昨日まで彼女と車デートに興じていた若者達であった。
車から飛行機…慣れるには時間は必要としない。
田舎町で走っている車が珍しい…車でデートなんて、いったい?
そこに日本の青年達と、米国の青年達が知り得た『物質文明の差』があった。
