今、一人ぼんやりと新宿の飲み屋にいる。夭折した友人に紹介されて、たまに飲みに来た店だ。
大企業と管理職として働き、茶人でもあった友人は言葉に誠意があった。
他人に誠意ももって言葉を向けるというのは、一番難しい。
どこかに嫉妬や欲得が散見されてくる。利害が絡めば、絡むだけ人は才能を発揮するものだ。
そういう人を世間ではやり手であるとか、辣腕である…と呼ぶ。
たぶん職場では辣腕であった彼だが、
仕事や趣味での会合でも嫉妬や尊大さを非常に嫌った。
こういう時に友人を呼べば、何かしら私へ説教が始まる。
あまりある知識と良識を備えた男だっただけに惜しまれる。