第2回…松風
第2回…松風。これは、お手伝いしている会のパンフ用に作成した粗筋原案を転用。
能『松風』
西国行脚を思い立った旅僧が、須磨の浦を訪れる。須磨の旧跡、歌人在原行平を旅僧が追想する間にも、秋の日は夕闇へと急速に落ちてゆく。
月の照らす海辺の夕闇、そこへ汐汲み車を引いた二人の若い女海人が現れた。
僧は二人に一夜の宿を借りる。そして、先ほどの旧跡の事を問うと、二人は落涙し、自分達は行平に寵愛された松風・村雨の姉妹の霊であると告げ、行平が残した形見の装束を取り出して、生前の恋物語を二人は懐かしむ。
やがて、姉の松風は形見の装束を身に付け、恋しい行平を偲ぶままに次第に恋の妄執が募る。
松風の心は死後においても恋の苦しみから、狂乱の様相と化してゆく。闇に佇む松を行平の訪れと思い、妄執に身を募らせる。
やがて二人は僧に弔いを頼み、夜明けとともに風のように消えてゆくのだった。
古今和歌集の在原行平の歌を作品の主題に導入し、行平を中心に二人の恋の妄執を描きながらも、甘美な歌物語へと展開している。
通常は前場、後場の二つに分かれる夢幻能形式であるが、二人が霊と名乗った後も巧みに一場能として構成。前半の汐汲み車、後半の松と舞台上の作り物も演出上的な効果をあげている。
