台風が来る
台風が来る。
低気圧に対して喘息持ちは注意しないと、急な発作に見舞われたりする。
一方で台風が近づくにつれ、風が高鳴り雨が吹き荒ぶ音が好きなのだ。
なぜか幼い時から、深夜に心沸き踊る。台風の進行方面の方々にはたまったものではないが、テレビの台風情報と進路予想図を見る。
低気圧による変化が人間の精神状態にある種の興奮と躁状態を呼ぶのだ…と聞いた事もあるが真実は例によって不明だ。
しかし…台風というのは凄い。日本列島を覆うように雲の渦が広がっている。国土の有様を広いように我々は感じているが、台風から見れば太平洋がグラウンドならば、日本は狭い箱庭だ。
同時に、台風という災害が日本の歴史文化や産業に多大な影響与えてきた事も確かなのだ。
災害には準備と対応を以て乗り切る事が可能である事を学んだ…はずである。
しかし、日頃の慢心や虚栄が、その対応を阻害する。
それは想定外の天災ではなく人災に等しい。
私が幼い時、台風に抱いた奇妙な興奮というのは、おそらく自然に対する本能的な思考であったかもしれない。
興奮して眠れなくなれば、万が一に災害が発生しても反応は早いだろう。
眠れなくなる…というのは防御本能だったのか…。
