魅力
能『石橋』大淵みなみ・清門会2011
今年前半の撮影、自分のライフテーマとしている能『石橋(しゃっきょう)』がようやく終わった。
この能の見せ場は、華麗な獅子舞にある。
紅白の牡丹、重厚な存在感の白獅子と果敢に舞う赤獅子の対比。
その軽快な型と舞いは撮影者が狙って追いきれる舞台ではない。
私は『石橋』を撮影する度に、己の未熟さを自覚する。
狙いを外して失敗し、まさに獅子に突き落とされた気分になる時さえある。
撮影が終わった夜、ひたすら自己嫌悪だったりして寝付けない…で、仕方なく酒に逃げたりする訳だ。
だが、獅子舞が始まる『来序』の囃子を聞くと、能撮影をしている醍醐味、自分だけが見ている獅子の刹那が忘れられない。
