烏天狗 | HOODのブログ

烏天狗

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話は、先の猫叉と遭遇する一時間前に戻る。


田圃の畦に一羽の烏が何やら土に穴を掘っている。私が近づくと、傍の電柱に飛び上がった。


電柱の烏を見上げる私。
周囲に人の気配はない。
(あれを久しぶりにやってみるか…)


私の秘技?『烏の鳴き真似』である。
この鳴き真似で周囲にいる烏を寄せ集める事が可能なのだ。

電柱の下で烏に向かい一声やってみる。『…。』


もう一度。
『…。』


今日は通用しないかな。仕方ないと、諦めて歩き始めた。


と…わさわさ、と羽ばたきの音。先の烏氏が私の上を付いてくる。私の歩調に併せて、次々と電柱の先々へ飛びながら私を見ている。
野生の生き物と関わる不思議さ、すこしだけ背筋がゾッとする。
『呼ンダノハ、オ前ダヨ…』


目を凝らすようにして烏は視線を私に向ける。

私は烏に手を振った。(…今日はサヨウナラ)


『…。』
甲高い鳴き声を一つ上げると、烏は水田を越えた屋敷森へと飛び去った。