猫叉
気ままな夕方の散歩道。
畑近くの空き地から一匹の猫が現れて、夕暮れの道を行く私を見ている。猫から私までは10メートル程だ。
猫は黒い毛が大半を多い、腹のあたりが僅かに白い。
私は路肩に腰を降ろし、猫を横目に眺めながら視線を合わせないように、あらぬ方向を見る…すると猫は、私が見ている方向に何かあるのかと私の視線先を辿る。
ん、何もないじゃないか…?
猫は私と視線の先を、再度見比べて困惑したような表情になった。
思い立ったように猫は立ち上がった。しずかに私の方へ歩いてくる。
猫は私の手前、1メートル近くまでやってきて、こちらを見上げ『にゃあ』と小さく鳴いた。
私が無視をしていると、再び『にゃあ』と呼びかけてきた。
猫に向かって私が鳴き真似をする。
それを聞いた猫の尻尾がクルクルと回る。
…人間のくせに紛らわしい意味のない事をしやがって…。
で、立ち上がると背を向けながら垣根の下に姿を消した。
