花
花の一生。
北関東某所。水戸より常磐線で約一時間ほど走った沿線、里山風景の中に小さな産廃場が見える。
近隣農家が土地を売ったのか、長閑な田園には場違いな有様だ。
先日、その産廃場外の片隅に、いつしか大きな鉢植えの椿が置かれている事に気が付いた。
遠目に見ても、かなりの椿は大木である。おそらく郊外レストランなどに飾られていた椿なのだろう。薄いピンク色の花を沢山付けていたので、違和感のある景色として私の目にも入ったのだ。
推察するに、椿は産廃として運ばれたが燃やすには忍びない、と考えた人物が産廃場の塀外へ置き捨てた…身を入れて育てるつもりはないが、そこで育ったなら…それで良いと。
人に焼却処分するのを躊躇わせた力が、かの椿にあるのだろうか。
または、小さな風雅、気紛れか。
椿の運命など知る由もないが、産廃場が閉鎖になっても椿だけ残って数百年という事もある。
または、明日には処分されているかも知れない。
伝説になってゆく巨木が生まれた由縁とは、意外と人々の思いこみなのかな…と思う。
写メは近所の神社にある藪椿。
