視野を遮る柱
初めて能を見る人から受ける質問に『どこの席から見るのが良いですか?』というのがある。
能に限らず歌舞伎、商業演劇、小屋芝居、ライブ公演も含めて余裕があれば正面席が一番解りやすくて楽しいでしょう…と私は答える。
能には正面席の他、舞台脇正面、目付け柱を中心にした中正面※がある。
どのジャンルにも『通』というあり方があって、では『能楽通』はどこから見るんでしょうか?と聞かれる場合もある。
橋掛かり近くの脇正面などは『通好み』と見えなくもない。シテの役者による幕からの出、舞台終了後のシテの息づかいも手に取るように感じられるし、橋掛かりの演技では目の前で観賞できる。
私個人としては、面白い場所ではあるが、それよりも『役者の粗』が見えてしまう時があって苦手な位置でもある。
ついで中正面は、能舞台に立つ柱が舞台視野を二分割して見えない場合が発生する。この矛盾した感覚もある意味で能らしさと言えるだろう。料金的には一番安い場所でもある。
では、撮影者のおまえは、どこが好きだ?
写メは、私のよく使う撮影位置から舞台を眺めたシーン。
脇座後方は、主人公のシテとワキ僧などが演技的に絡む対角線上に当たる。シテが演じる面の視線が頂ける場所の一つ。
※最近AKBネタを多様する私だが、かの劇場にも柱があって、柱背後は完全に舞台視野を阻んでいるらしい…その見えない位置からでも熱心に応援するファンを『柱の会』と呼ぶのだとか。
むろん能の観客達には『柱の会』はない。強いて言えば、学生券が中正面だったりして、結果的に学生時代は『柱越し』に能を見ていたように記憶している。
このような舞台比較をすると双方のファンと愛好者から『一緒にするな!』と叱られそうだ。
