無名草紙 | HOODのブログ

無名草紙

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昨年末から『無名草紙…むみょうそうし』を読み始めた。

本書は平安末期に書かれた文芸批評とも言えるし、古典作品論として最も最初の一つとも言える。

作者は藤原俊成卿女(藤原俊成の孫にあたる)と考えられている。

とりわけ、源氏物語に関する各登場人物評価が興味深い。
例えば、主題である女性論のサブテキストとして男性論を展開している所見。


特に作者は薫大将を…『すべての物語の中にも、まして現実(うつつ)の中にも、昔も今も、かばかりの人はありがたくこそ』…と理想としている事だ。

薫は、表向きは光源氏の子ではあるが、実は妻である女三の宮と柏木の間に生まれた不倫の子である。
その陰りを漂わせながら、いわば『草食系男子』的な行動規範で原作は薫を描く。

浮舟が男性的な匂宮に見せられ、薫を軽く扱う様を…『女の、せめて色なる心のさま、よからぬゆゑにぞ侍る』…と女が男性の肉体的な魅力にすがるだけの行為を過ちとし、女性関係に積極的な匂宮よりも、女に対して年を経ても誠実であろうとした薫を上位としている。

(作者は、奔放に見えながら実は意志に溢れた朧月夜を『いみじき女』として魅力的と表しているなど、単に肉欲だけに流されない存在を女の理想としているようだ…)

『無名草紙』は学生時代に講義用テキストで入手。
しかし、当時の私は詳細に読む作業は怠っていた…まさに『あさましき』ものなのだ。
今更に時期を失した観は否めないが、読みながらの印象として、私が作者の部屋に招かれ『源氏物語作品論』を受講しているかのような楽しさがある。