猫の会議
とある日。実家最寄り駅付近を歩いてみた。
七、八年前くらいだったか、散歩をしながらスナップ撮影を行っていらいの駅前だ。
駅近くのガレージに一匹の黒猫がいた。この場所が空き地だった頃、私は同じような黒猫を、ここで撮影している。
確かに、あの猫に顔や毛並みは似ているが…猫の寿命とは何年くらいなのだろう。すでに当時、丸々とした猫だったのだから、あの猫とするならば十年は越えて生きている計算になる。
猫は、あの日と同じように物憂げな眼差しで私を見、また目を瞑る。
古来、長寿した猫は妖怪変化し『猫叉』になると云う。こいつも、もうすぐか。
『残念だけど…俺はまだだよ…でも、猫叉になったら人に化けられるから…その時は、お前には俺だとは判らんさ。』
猫には、そういう人語を解するような空気と気配がある。
いや、たぶん本当に解するのだろう。
夜中、真っ暗な農道の端っこに猫が座っている。
道行く私には見えないはずなのに、『おいっ!』と呼ばれたような感覚や気配を感じ、闇に目を凝らすと猫が私を確かに睨んでいる。
少しぞっとしながらも、こちらも近くに座ってやると迷惑そうな顔をしながら目を瞑り横を向く。
そして耳を動かしながら微動だにしない。
よく話題になる『猫の会議』とは、意外とこんなものなのか、とも思う。

