変わらぬ風景
先日、所用で渋谷宮益坂方面に出た。
普段は道玄坂方面はがりなので、ハチ公口を利用している。
私の渋谷駅付近の印象は、109横から東急文化村より松濤へ向かう以外、ほとんど歩いた事がない。
こうして地上を走る銀座線を宮益坂から眺めて見ると、地下鉄のアーチが戦前の昭和風なデザインである事を改めて知った。
雨の印象もあるだろうが、少しばかり日本ではない外国の街を歩いている気分になった。
とは言え、所用が済んだら足早に立ち去るしかない街であるのも確かだ。
渋谷にも、良い居酒屋もあるのだろうが、私は縁が薄い。
私にとって渋谷はただ一つ。
震災当日、渋谷で地震に遭遇した事だ。
あの夜。黙々と歩く人の列、店頭のテレビを食い入るように見つめる人々、誰もが自然の脅威を実感し噛みしめながらも、不安に駆られての騒動もなく、渋谷の街は静かだった。
大事を前にして静寂を守る事は、日本人が歴史から身につけてきた精神の一つだ。
明日から大変な日々が始まるだろう。
人々は、その予感に耐えていたのかも知れない。
