子孫に残した言葉 | HOODのブログ

子孫に残した言葉

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写メは能面『増』江戸中期作成。

曾祖父池野伝吉が日本国内で本土決戦への覚悟を認めていた頃、ちょうど私の母は祖父の仕事で台湾にいた。

次は沖縄か台湾に米軍が来る噂が流れていた…ある日。

祖父は、当時小学生であった母を縁側に座らせて、庭に竹を数本立てて真剣の試し斬りを始めた。

見事な腕前で竹を次々に斬り割いてゆく祖父。そして母に言った言葉。
『台湾に米軍が来たら俺は戦う。しかし、その前に長女であるお前の首を最初に斬る。後に続くお母さんや妹弟が泣き出さないよう姉として自決の手本となるべく覚悟を決めておくように…』

祖父は斬った竹を片づけながら、平然と母に命じたそうな。
家族の死を覚悟する時代とは、まさに人としての規範が『狂気』を大前提として機能していた…父親が最初に娘を斬る覚悟とは、やはり異常な精神状態と言える。

そして終戦。


終戦となり、曾祖父池野伝吉が玉音放送の後、家族達に言った言葉がある。

『戦争に負けて良かったな』

この言葉に対しては、60年以上経過した現在でも親戚同士で話が出ると意見が真っ二つに分かれ激論となる。


しかし、一人の先達として池野伝吉を眺めると、この言葉の裏側には、戦いの塵灰にまみれても国の文化や人々の生命が生き残った喜びを実感している曾祖父を感じるのだ。

状況から判断された見解より、幾多の見識と方法論を重視した結果が導いた言葉であったと私は思う。